親亡きあと。離れたところに取り残された重度知的障がい者の兄弟姉妹を、自分が世話をするにあたり近くに移しますよね。
その相談先がない自治体の話。
まさに姉ポが住む東京都江東区が相談先を整備していないのです。
転居するときは物件や周辺環境などで決めますから、行政について知るのは住み始めてから。
(余談。姉ポの前の家々で感じた行政の対応は新宿区Bad、港区Best、千代田区Goodでした)
こんにちは。
自宅リビングからの景観が気に入っている姉ポです。
CdLSで最重度知的障がいをもつ妹の成年後見人をしています。
◆ ◆ ◆
さまざまな福祉関係者と電話、面会、協議をしましたが、口を揃えて言われるのが「江東区は福祉が弱い」ということ。
姉ポもうっすらそう感じましたし、江東区内で福祉に従事されている方々がおっしゃるので本当にそうなのでしょう。
ベッドタウンの江東区、アリーナとか作りまくる土地と費用があるなら人間の生活に目を向ければいいのにって思いました。
今回は、江東区役所(東京都)障害者支援課の方針転換についてと、相談先を探して『たらい回しの刑』にあって見えてきた状況とその情報について発信します。
もくじ
江東区役所では、情報提供をしない方針に変更
保護者が江東区、本人の住居地が別の自治体の場合、江東区役所障害者支援課では、情報提供をしない方針に変更されていましたので注意が必要です。
以前(2019年地点)は、江東区役所の障害者支援課で、福祉サービスの情報提供もさることながら、(空室の有無は別としても)障害者施設の紹介する業務もされていました。
しかしコロナ禍を経た2023年3月現在、江東区役所の障害者支援課では、保護者が江東区在住でも、本人の最後の住居地が江東区でないと、情報提供ができなくなったとのこと(電話で愛の手帳係に確認済み)。
詳しくは「江東区が発行した愛の手帳保持者以外の相談は、江東区では受けつけられない」ということなのですが。
江東区にいる保護者のことは「支援しない」。悪変ですね。
2019年 | 2023年 |
保護者の住居地である江東区役所で、 受け入れ先の障害者施設を探す |
保護者の住居地である江東区役所では、 受け入れ先の障害者施設は探さない |
「北九州市も東京の支援情報をもっている」と言いはる江東区
江東区役所の方針は「保護者には協力できない」「首都圏の支援施設でも北九州が探せ」に変わりました。
江東区役所のいいぶん
「本人がいる北九州市のA区が支援の提供元なのだから、A区が江東区の施設情報を仕入れて受け入れ先を探すべき」
はい。制度的に間違ってはいない。
しかし近隣ならともかく、江東区自身も整理できてない障がい者施設情報を、地方都市が把握しているのだろうか。
言ってることめちゃくちゃですよ。
まず江東区が自らの仕事をしてはいかがかと思うのですが。
北九州市側の回答
A区役所保健福祉課障害者相談係(以降A区)と北九州市基幹相談支援センターに聞いてみました。
共に同様のご返答。
「北九州市内近郊はもちろん案内できるが、地名も知らないような関東の施設までは把握していない」
ごもっとも。
相談先を巡って延々とたらい回し
サービスの提供のことを言ってるのではないのです。
おのれの地域の情報を開示してほしいと言ってるだけです。
保護者=東京に在住 知的障害者=北九州市に在住の場合 | |
東京都江東区 | 保護者が江東区民でも関係ない。施設探しは本人の居住地である北九州市の仕事だ |
北九州市A区 | お応えしたいけど、東京の情報は持っていない |
入所施設にいる場合、経済的・手続的な支援(サービスの提供)は、最後に自宅で暮らした住所地が支援元になります。
それは、本人が施設を移転しようとも元の自治体が行います。
よって両者ともごもっともなのだけど、物理的にA区では難しい。
支援が充実した北九州市(A区)でも無理ゲー
産業も多い大都市の北九州市は、しっかり情報を更新しながら、障がい者支援も充実している。
区役所も疑問は解決していく姿勢でプロフェッショナルな印象です。
しかし全国の自治体すべての情報をもっているかというと「遠方は地名すらわからない」が現状。
自身の区の情報すら提供できない江東区は例外として、一般的には自身の地域の情報は持っているかと思います。
ですが日本国内、自治体同士で横のつながりがない。
まるで通信手段やデータベースが乏しかった昭和のよう。これが現実です。
連携プログラムくらい今なら簡単なのではないかと思いますが、きっと自治体同士の小競り合いになるのでしょうね。
『相談支援事業所』に直接相談する
姉ポは江東区民であったがために『たらい回しの刑』開始。
まあそれはそれは電話しまくりました。

と繰り返し、何度説明したことか。
北九州市基幹相談支援センターのほうでも、江東区近隣の相談はどこにすればいいのか探してくださいました。
本来『相談支援事業所』を統括してるはずの行政や基幹相談支援センターなのですが設置なし。江東区役所が担うのかといえばそれもない。
電話をしまくりわかってきたことは、江東区内に多数あるいろいろな『相談支援事業所』に直接あたっていいということ。
社会福祉協議会の関連事業所* で教えていただき『計画相談支援事業所』一覧を手に入れました。しかし、どこがなになのか、どこが該当するのかはいっさいわかりません。

勢い余って次々と電話をかけて事情を話しまくりましたが、複数の事業所に相談していいものなのかどうか。それは仕組みの情報すら提供しない区役所のせいにすることにします。
*
なぜ「社会福祉協議会の関連事業所」なのかというと、江東区では社会福祉協議会が障がい者関連の事業を他の民間事業所に委託しているから。
その民間事業所は、社会福祉協議会の代理を果たすかというとそうではなく、他の相談支援事業所と同じなのだそうです。
そして「現在(2023年3月)は手一杯なので受け付けられない」とのこと。
つまり江東区では社会福祉協議会もこの部分が機能していないということになります。
妹ちゃんの相談支援員と相談支援事業所
妹ちゃんの相談支援員は、北九州市の入所施設内にある相談支援事業所にいらっしゃいます。
3年に1度の契約と半年ごとのモニタリングを行なっています。
移転したい旨はお伝えしておりご尽力いただいています。
江東区役所からの黒い提案
江東区内の相談支援事業所にもそれぞれ相談支援員さんがいらっしゃいます。
契約をしていない人から、公的機関を通さず直接電話で相談支援事業所に相談するのが適切ではないような気がして不安です。

江東区の事業所と契約すればいい
江東区役所からはそう提案されました。
現在の妹ちゃんの施設生活に差し支えしかないでしょ...
じゃ、サービス責任者はどっちの方?
江東区の相談支援員が北九州の施設内のことがわかるの?
通院は?
トラブルに対処できるの?
疑問がいっぱい。
というか、適当にあしらってる言葉だと思いました。
知的障がい者への対応がある
江東区の計画相談・障害児相談支援事業所一覧
同じく『たらい回し』にあっている江東区のご家族のために、知的障がい者を対象とした『相談支援事業所』のリストを載せておきます。(令和4年12月1日現在)
江東区第二あすなろ作業所
毛利2-1-14 03-3846-6508
グッドワン
住吉1-14-11 03-6284-0411
江東区障害者福祉センター
扇橋3-7-2 03-3699-0316
就労プランニングセンターWorks
東陽2-4-39新東陽ビル4F-2 03-4400-7240
なかよし指定訪問介護事業所
福住2-4-1 03-5639-9188
こぴあクラブ
冬木6-20 03-3630-1363
江東区塩浜福祉園
塩浜2-5-20 03-3647-6987
NPO法人結ぶ会
豊洲4-10-1-1205 03-6767-8007
up to 相談 COMMON(旧ボンデイ)
塩浜 03-6666-2145
相談支援センターOHANA
亀戸2-44-12亀戸ビル2階 03-5858-8747
江東区亀戸福祉園
亀戸9-6-29 03-3683-1451
城東訪問介護
大島1-7-11 03-5628-3377
相談支援センターグロウ
大島8-32-7学脇ビル303号 03-5875-1166
ゆめ相談支援事業所
北砂1-14-4-1階 03-3644-0701
のびのび相談支援センター
北砂7-9-1太陽ベニヤビル1F 03-6666-2181
江東区東砂福祉園
東砂3-30-6東砂福祉プラザ1・2階 03-3646-6634
江東区あすなろ作業所
東砂3-30-6東砂福祉プラザ3階 03-3646-6720
有限会社サン介護センター
東砂1-6-5 03-5617-3955
楓の会ヘルパーセンター
東砂6-2-14-3F 03-5617-3750
相談支援センターきりん
南砂5-4-2 03-3699-5809
2023年6月現在
『基幹相談支援センター』すら設置がない江東区
区役所が業務を担えないのであれば、専門機関を設置すべきと姉ポは考えます。
障害者総合支援法第三章第七十七条の二により、北九州市しかり多くの自治体に『基幹相談支援センター』が設置されています。
各地域に設置された『基幹相談支援センター』は、障害者相談支援の拠点として総合的な相談業務を行います。
基幹相談支援センターが、地域やその周辺の障害者関連施設の情報を把握していますので相談できるはずなのですが
↓ ↓ ↓
東京23区のうち、江東区のみ設置がありません。(令和5年4月現在)
江東区と並んで設置がなかった葛飾区も、令和5年4月に基幹相談支援センターを設置しました。
高齢者の介護における『地域包括支援センター』は、必要な措置を講じることが義務化されています。
しかし、障害者の支援における『基幹相談支援センター』の設置は、まだ義務化されていないようなので、23区のなかで江東区のみ未整備ということです。
問題視すらしない江東区の『愛の手帳係』の様子に呆れた姉ポ。
江東区民である保護者の人権を侵害していないですか?
江東区長への手紙で陳述
というわけで、江東区広報室に『区長への手紙』で、基幹相談支援センターの設置を陳述しました。
『基幹相談支援センター設置の必要性と相談先の陳述』
保護者が江東区在住で、被保護者である知的障がい者が他地域在住だった場合。
江東区では、江東区内・近隣の知的障がい者施設の情報を案内・紹介をしない方針にされたとのこと。先日、江東区役所障害者支援課から拝聴しました。江東区の問題点に思い至りましたので、ご検討およびご回答をいただけたらと思います。(800文字におさめるため詳細を割愛)
本人(被保護者)が施設転居する場合、支援(給付支援や手続)に関しては、旧保護者と暮らした最後の住居地が担うことは、法制度を含め把握しております。問題は、江東区や近隣施設の紹介元も、本人がいる遠方の区役所とした点です。
住居の相談先の問題
保護者が住む江東区では「遠方の区役所に、江東区・近隣の施設の情報を聞け」
本人が住む遠方の区では「関東の情報まではもっていない」
これを問題視した先方都市の障害者基幹支援相談センターが、江東区の相談機関がないか方々に問い合わせてくださっており現在お返事を待つ状況です。
入院等医療の相談先の問題
江東区役所では、知的障がい者の受け入れ可能な病院の情報は持っておらず、障がい者を診察できるか1件1件病院に問い合わせて聞くしかないとのこと。保護者にも、病院側にも負担が大きいです。
解決策として、障がい者福祉において地域の情報をもつ専門機関『基幹相談支援センター』の設置を提言します。
ここでいう支援とは経済的なものではなく、障がい者のニーズに対応する総合相談のことです。生きる尊厳として必要なことですので、ご検討をお願いしたく存じます。
ご回答の希望は次の通り。
遠方に住む知的障害者を保護者の住居地江東区または近隣に移したいという相談、2019年地点では障害者支援課にてできていたのをご存知でしょうか。新しい方針を、私は『悪変』であると思うのですが、江東区は住民になにが利点とお考えになって変更なさったのでしょうか。
つまり、先ほどの「江東区役所では、情報提供をしない方針に変更」に記載したように担当者が変わって方針が変わったことに対しご意見を伺いたいってこと。
江東区障害福祉部からの回答
区長への手紙は区長から返信があるわけではなく、担当部署担当者からいただけるようです。
中枢は内容を把握してるのかどうかは不明。
その回答がこちらです。
江東区の基幹相談支援センター設置予定
東京23区のうち唯一『基幹相談支援センター』が無い江東区ですが、回答書によると令和7年度の開設を目指しているとのこと。
令和5年4月に23区のうち22区は設置済み。
目指すところ令和7年度って・・・
江東区の障がい者福祉の遅延ぶりがあらわです。
妹ちゃんの相談支援員の令和7年に対する期待値が高いのですが、姉ポは過剰な期待を冷ややかに見ています。

中身はカラッポでしょ?
と期待値ゼロ。それまで妹ちゃんや姉ポが元気でいるかも怪しいですし。
(といいつつ、その頃もしまだ江東区民だったら行く!)
まとめ
障がい児を産んだら児童福祉がある。いろいろな情報を得ることができ、子どもと共に成長できます。
しかし、障がい者の兄弟姉妹の多くは、親が亡くなって突然に障がい者福祉と関わります。
なので、情報がなく四苦八苦。
8050問題も深刻さを増す今、もっと整備をしておかなくては未来が暗いです。
今回は次のことがわかりました。
- 江東区役所では、障がい者が別地域にいる場合、保護者の支援はしない
- 東京23区のうち、葛飾区と江東区には基幹相談支援センターの設置がない
- 計画相談支援事業所に直接相談してもいい場合がある
- 知的障がい者への対応がある江東区内の計画相談・障害児相談支援事業所
兄弟姉妹は、ものすごい時間のロスと、労力の提供と、精神力の消費を強いられますね。
関連記事も見ていただけますと幸いです。