『専門職後見人』は『後見人を専門とする職』を意味するものではありません。
弁護士や司法書士など法律の専門職、社会福祉士など福祉の専門職が後見人になる場合に『専門職後見人』と呼ばれるのです。
このサイトでは『職業後見人』と表記しています。
こんにちは!
成年後見事件のストレスで甲状腺に異常がでた姉ポです 😯
CdLSで最重度知的障がいをもつ妹の成年後見人をしています。
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この記事では、申立ての前に知っておいてほしい、成年後見に関わるお金のことをまとめました。
審判あとの職業後見人への報酬についても触れます。報酬費用には規定などがありません。裁判官のお気持ち次第なのですが、指針はあります。
福岡家庭裁判所小倉支部(以降、小倉家庭裁判所)が、申立面接時に提示した額を公開するとともに、報酬費用の相場を整理します。
申立時の費用
福岡県の妹ちゃんの場合。申立時の費用は、家庭裁判所へ 7,260円(H30年)、
書類の準備で、11,200円。合計 18,460円でした。これらは、申立人が支払います。
支払先 | 家庭裁判所 | 病院 | 区役所 | 法務局 |
申立手数料 | 印紙 800円 | ー | ー | ー |
後見登記手数料 | 印紙 2,600円 | ー | ー | ー |
郵送代 | 切手3,860円(細かい指定あり)*1 | ー | ー | ー |
診断書代 | ー | 5,000円〜10,000円 *2 *3 | ー | ー |
住民票 | ー | ー | 300円 | ー |
戸籍謄本 | ー | ー | 600円 *4 | ー |
登記されていないことの証明書 | ー | ー | ー | 印紙 300円 |
*1:使用されなかった切手は返却されました
*2:うちは内科でお世話になっている個人病院で10,000円の請求でした
*3:二次診断が必要になる場合があります。その際は〜100,000円となっています。知的障害者の場合はすでに障害判定が出ているわけですので、二次診断を申しつけられることはないかと思います。
*4:マイナンバーの記載なしのもの
東京の場合はコチラ
後見人への報酬費用
親族に後見人の適任者がいなければ、市民後見人や、職業後見人(社会福祉士、弁護士、司法書士やその法人)になるのかと思われますが、家族が世界一の適任者でも、専門職をつけられることがあります。身上監護に比べ、簡単な財産管理のみが職業後見人となるケース。
財産状況を把握しているのは家族なので、結局は家族が集計・報告書を書いて、職業後見人が内容確認後に名前だけを書きかえて裁判所に提出するのですが。この名前を書きかえるという行為に大金を支払わなければいけなくなりますので、申立前に本当に成年後見人が必要なのかよく検討されてください。
1)限定期間、職業後見人と家族が
『分掌で共同後見』を行う場合の報酬
相続が発生する場合などに分掌される(権利を分ける)ことがあります。
または、成年後見支援信託の締結までの期間、財産管理のみ職業後見人がつく場合です。
成年後見支援信託の締結まで、職業後見人が財産管理
小倉家庭裁判所で行われた申立時の面接で、下記の二者択一をするよう促されました。
- 財産を成年後見支援信託へ預け入れるまで、専門職後見人をたて財産管理を分掌し共同後見とする
- 家族後見人に監督人をつけ、一生に渡り何百万・何千万円となる可能性のある費用を払い続ける
なかば脅しのような二択ですが、姉ポは1を選択しました。
その結果、次の条件が出されました。
- 身上監護は姉ポ、財産管理はA弁護士とする。
- 遺産相続、不動産登記も、A弁護士が行う(はずだった)。
- 報酬費用は下記のとおり。

この条件をのめますか?
これらの条件をのみましたが、約束は守られることはありませんでした。
- 遺産分割協議書も姉ポが作り(A弁護士は委任状にサインしただけ)
- 不動産登記も姉ポが行い(A弁護士の印鑑証明書に不備があり大変だった)
- 報酬費用も提示額の約3倍でした
実際には、A弁護士がA弁護士個人名の銀行口座に、妹ちゃんの財産を移すという恐ろしい事件なども発生(裁判官はそれをご存じのうえで、継続させていらっしゃいました)。
裁判所での面接時に契約書を書くようにするか、録音・録画をできるように制度を改定しなければ、司法だからといって約束を守るとは限らないことがわかりました。
通常は、小倉家庭裁判所のように金額を明確に提示してくることはないはずなので、面接時にぜひ聞いてみてほしいです。全申立人が報酬を聞いてきたら、将来には国で統一された料金表でもできるのではないかと。
本来であれば、基本報酬を定め+特別報酬(定めになかった仕事の報酬加算)で算出します〔目安は次の項にて〕。特別報酬は、退任時に職業後見人が裁判所へ提出する報告書を元に、その難易度・専門性に応じて、裁判官が決めます。問題なのは、親族の知らないところで、職業後見人が限りなく黒のグレー報告をしている可能性があるということ。
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ただ知っておいてほしいのは、裁判官の審判は「この額を報酬として請求していいですよ」という意味合いです。
払わなくても、請求元が訴訟など起こさない限り裁判所は「我関せず」。
A弁護士の場合は、自分の不正も表にでるため騒けませんよね。証拠をつきつけて交渉したら、面接時の金額に訂正してきました。

2)分掌のない職業後見人の報酬
一生全ての後見をお願いする場合についてふれておきます。
H30年時、目安となる報酬についてはこうでした。
基本報酬2万円/月。
管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合 には,財産管理事務が複雑,困難になる場合が多いので,管理財産額が1000万 円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円,管理財産額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とします。
私の感触では、社会福祉士<司法書士<弁護士の順で報酬額が高額になっている様子。
【一つの酷い例】
奥様の介護をしながらつつましやかに生活していたご夫婦のお話。預貯金がなく年金のみが財源。暮らしていた奥様のご実家(奥様名義)を処分し、夫婦で養老ホームへ入ることを希望。奥様には認知症があるため、旦那様が後見人となり手続きを進めるべく、成年後見を申し立てる。近年、自宅の時価が上がり、家庭裁判所は財産総額が高額と判断。職業後見人がつく。
保有財産価値が高いため、国民年金の月額6万円をまるまま後見人報酬として支払わなければならず、貧困者となる。職業後見人は自宅の処分を許さず、自宅があるので生活保護も受けられず。その職業後見人は数年間、夫婦の前に顔も出さず。
今後の算定基準改正の方向性
やはりこれはよくないということで、算定基準を財産保有額ではなく、実際どのような後見業務を行ったかその量や難易度などへ変更される方向にあるようです。
参考:最高裁判所資料「新たな後見報酬算定に向けた考え方(案)」

3)家族後見人の報酬
後見報酬、姉ポは受け取っていないのですが、各ご家庭の事情は様々かと思います。
家庭裁判所に『報酬付与の申立て』をすることで(裁判官のご判断によりますが)家族後見人でも報酬を受け取れるようできます。
例えば、生活を一緒にしている場合など、本人とそのほかとの出費が分けづらいことがあるかと思います。実際姉ポも、妹ちゃんの洋服の一部はハンドメイドで、材料に関して分けづらいと思うものがあります。
そんな細かい数字を監督人からつつかれて、後見業務が負担となるよりは、家族後見人が報酬を受け取り、得た報酬で曖昧になりそうな出費に充てることができることがメリットかなと、私は考えています。
ちなみに税制的には、 家族間ではありますが贈与ではなく、雑所得になり課税対象です。
経理の負担が大きい家族後見人をお助けするサブスクのSMBCサポートサービスがあります。関連記事にてご紹介するようにします。

まとめ
この記事では次のことがわかりました。
- 申立にかかる費用はおおよそ2万円弱で、申立人が支払う。
- 期間限定の後見人 基本報酬+報告書を元に特別報酬(報酬加算)で算出
北九州市内は一律250,000円(申立面接時に明言されました) - 分掌のない職業後見人の報酬は、本人保有の財産額による
本人の財産額が1,000万円以下2万円/月、1,000万円超5,000万円以下3〜4万円/月、5,000万円超5万円~6万円/月。(2019年8月) - 今後の算定基準改正の方向もあるが未定。
- 家族後見人も、『報酬付与の申立て』をすることで報酬を受け取れる場合がある
なんとなくの目安になりましたでしょうか。意図せず職業後見人がつくことがありますので心づもりに。また、親族後見人の負担が大きいようなら、サポートサービスの利用や後見報酬の申立てを検討されてはいかがでしょうか。 姉ポ