家庭裁判所から、親族後見人になる条件の1つとして
『成年後見支援信託』の利用を提示されました。
利用を開始した我が家ですが、リスキーな商品であることがわかってきて、
本人の財産を守れていないと感じモヤモヤしています。
こんにちは。
数字と芸術が好き!姉ポです。
CdLSで最重度知的障がいをもつ妹の成年後見人をしています。
◆ ◆ ◆
成年後見制度を利用するとき、財産管理方法のひとつに「後見制度支援信託」があります。
家庭裁判所が出す指示書がないと信託財産の出し入れができないというものですが、
本当に安全なのでしょうか。
不便である心配はないのでしょうか。
「後見制度支援信託を利用しないと、家族をバラバラにしてやるぞ!(悪訳)」
と、家庭裁判所の面接官から言われたご家族も多いかと思います。
今回は、成年後見支援信託に対する、このモヤモヤについて提言します。
1,000万円を超えるお金は保護されない
「元本保証」をうたっている成年後見支援信託。
勘違いをされている人もいるのではないかと思うので復習します。
パンフレットに書いてあるのは、運用においての元本保証であり、
金融破綻時には適用されません。
預金保険制度についての詳細は、預金保険機構のHPにて
ペイオフの対象である
成年後見支援信託は、いくつかの信託銀行で取り扱いがあるので
各行、詳細は異なってくるかと思われますが、
預け入れは、1,000万円以上から 1円単位となっていることが多いかと認識しています。
成年後見支援信託をあつかう多くの信託銀行はペイオフ対象の金融機関かと思われますが、
ペイオフで保障されるのは、1,000万円までです。
つまり、1,000万円を超えるお金については、
金融破綻時には財産を失う危険があるということ。
この商品を扱っているのは、長く実績のある大手信託銀行です。
金融破綻なんて滅多に起きるものでないとはいえ、
かつて不動の王者、山一證券も破綻しましたから絶対ないとはいえず、
「本人の財産を安全に守る」という理念に反してませんでしょうか・・・
法曹界や立法の方々はどうお考えなのか興味があります。
ぜひこの不安を取り除いていただきたいです。
ペイオフ方式
預金保険制度に加盟している金融機関が破綻した場合の、
預金者への保険金の直接支払いのこと。
- 1金融機関1預金者あたりの元本 1,000万円までと、その利息等が保護の対象
- 保護の基準を超える部分の支払いは、破綻金融機関の財産の状況に応じる
だからこれまでリスク分散のため
妹ちゃんの財産も
いくつかの銀行口座に振り分けてきたのですが。
旧後見人の弁護士が、1つの口座にまとめ、
家庭裁判所が強要する成年後見支援信託に預け入れることになりました。
経済成長により財産を目減させている
わが日銀は「2%の経済成長」を目指していますね。
物価を2%づつ上げていきましょうよ、経済を循環させましょうよと言ってます。
つまり、お金の価値が2%づつ減るということ。
経済が成長すれば預金の価値は下がる
成年後見支援信託に、財産をただ置いているだけの場合、
それはお金が保たれているわけではなくて、目減りしているということを
もっと意識されるべきだと考えています。
大卒初任給の
1970年 39,900円が、
1990年 169,900円になったように(厚生労働省の賃金構造基本統計調査による)。
1981年に50円だったガリガリ君は、今は50円を持っていっても買えません。
今は86円が必要です。
お金の価値が下がったということですね。
運用益はほぼ無い
姉ポは契約前にここを見込みちがいしていたのですが、
信託銀行だからってといって運用益があるわけではなかった...
妹ちゃんの信託銀行では、
『元本保証の金銭信託5年もの』で運用されています。
数字じゃないからよくわかりませんよね。
妹ちゃんが4年契約していて、運用益がいくらだから...
1,000,000円あたり約48円!
親族としては、48円無くていいから安全に分散させたいです。

元本保証のある投資信託だと
大きな勘違いをしてました...
利用により管理が便利になる人もいる
リスクやデメリットについてお伝えしましたが、
他の人の場合によっては便利な使いかたもあります。
成年後見支援信託では、
家庭裁判所から指示された定額を、定期交付するサービスがあります。
基本、重度知的障がい者には関係ありませんが、
生活口座のお金や現金を、本人が使い過ぎてしまわないよう
すこしづつ(定期的に一定額)信託口座から生活口座に移してくれるもの。
生活費として少額づつ解約(引き出し)がなされるので、
普通預金・通常貯金の使い勝手ながら、
盗難、紛失、使い込みの心配は軽減されます。
さいごに
妹ちゃんの場合は、普段使わないお金を全部
成年後見支援信託に預けています。
お金をただ置いているいるだけなので、
置き場所はリスクを回避したいのです。
裁判官の許可がないと解約(引き出し)できないので、
泥棒からは守られますが、
金融破綻からは守られるわけではありません。
ちなみに、財産管理が他の後見人に分掌されている場合、
その後見人が勝手に家裁へ報告して、
勝手に引き出されるという可能性はあります。
究極の話ですが、親族へのおしらせは義務でないので。
とはいえ、定期交付で便利に使える人もいますので、
商品自体が悪いものではないということは確かです。
◆ ◆ ◆
障がい者の財産も、
リスク分散して財産を守る権利が欲しいところ。
一般の人には許されて、被後見人には許されないのは
権利侵害ではないのだろうか...

モヤモヤしています。
まだ後見の開始がなされていなければ、
家族信託などの選択肢もあります。
自分たちに成年後見支援信託が本当に必要か考えて、
もし必要でないならば、
財産を安全に保つ代案をもって家庭裁判所に相談してみてもいいと思います。
妹ちゃんなら・・・
いくらか国債にして、
信託銀行も分けて、
マル優(=障がい者の権利)ぎりぎりまで
ニュー福祉(=障がい者のみ預けられる)を使いたい。かな。